2009年01月26日

■日記■ 残したいもの

 皆さんご存知のように、今日は旧正月なのだが、それとは全く関係のない話。

 今日は、自分の仕事について、これまで作ってきた本や、出版に対する考え方などを、大学生の前で(正式な講義として)話すという、考えてみればかなり大それたことをした。
 もちろん、僕は正式の講師などではなく、「ゲストスピーカーとして話してくれない?」と頼まれ、特に考えもなく引き受けたのだ。こういう時に「僕の話が何の役に立つのだ?」という疑念を、基本的に僕は抱かないようにしている。
 聞かれたことに答えるというスタイルだし、まぁ何とかなるか、という安直な思いもあって、特に準備もせずに臨んだのだが、思っていた以上に楽しかった。

 終わってからも、「こういう話をすればよかったな」とか、「こういう表現をすればもっと分かりやすかったのかもしれない」なんて考えたりしている。明らかに準備不足のせいなのだが。
 そうして思ったのだけれども、僕は自分でも意外なほどに、若い人に対して何かを語りたい、知ってほしいという欲求があることに気がついた。
 もちろん、若い人たちに対して残すべきもの、知ってほしいという確固たるものが僕自身にあるわけではない。
 ただ、いいものは伝えていきたいと考えている。
 単純に、年取っただけ、とも言われそうだが。

 幸いにして、ものすごく幸いなことに、僕は本を作り出す仕事をしている。
 本は残る。それは物質的な意味として本は長持ちするということでもあるが、本という形になることで、そこで記録された事象や形而上的な思考は、意味を持ち得る、と僕は考えている。別の言い方をすれば、本にするということは、本にした時点で「残すべき」という価値が付与されると思っている。もちろん、そうして出された本(およびそこで著された有象無象)はいろんな人の判断で冷徹に歴史の闇に葬られるのがほとんどだが、スタートラインには立てる。形(本)にするという意味はやはり大きい、と考えている。
 ネットを含むあらゆる活字媒体の中で、本が持っている強みはそこだと思う。音声や映像の記憶メディア(CDやDVDなど)と比較しても、まだ優位な立場にあると思っている。
 だとすれば、いいものを残したいと考えるのは、やはり必然である。後の世に、何らか役に立つような仕事を残したいと思う。それができる可能性のある仕事をしているのだから幸せである。

  

Posted by 沖縄県産本ネットワーク at 19:37Comments(0)TrackBack(0)事務局長Tの腕まくり日記

2009年01月09日

■日記■ 野暮とは知りつつ…

 天久斉、宮城一春両氏による出版年末回顧に刺激を受けて、また、頼まれもしないのに僕も書いていたのだが、なかなかまとまらず年を越してしまい、気づけばもう1月も中旬である。
 キーワードは「境界とは何か」「目だった続編」「『沖縄的』なものについて」「批評の不在」なんてものを思い描いているのだが、まだまだまとまっていない。

 それはともかく、今朝の新聞にはある本の広告が出ていた。
 昨年発行された本書は、新聞広告で(しかも1面で)本書の一部を紹介し、「続きは本で…」というユニークな戦略で目を引き、内容もなかなかに読ませた。何故か僕の方にも「売ってほしい」との問い合わせもあったから(ちゃんと確認してから電話してね)、それだけ反響も大きく、実際に売れたのだろう。
 そういえば、去年は「売れた」ということを大っぴらに言い出して、かつ、どれだけ売れているかをビジュアルで見せようとする広告が目に付いた年でもあった。

 本書の帯には「時がたつのを忘れるほどの人間ドラマ。創業者の悲喜」。そして今朝の広告には「創業者の生きざまを描く渾身のルポ」とある。過不足なく説明しているいいコピーだ。
 …かっこいいなぁ。売れたんだろうなぁ。うらやましい限りである。

 ところが、その右には、今年第2弾の発行を予告し、「参加企業募集中!」と出ている。さらに説明では、「あなたの会社の歴史と商品を載せてみませんか?」
 ワイングラス片手に「広告やないかーい」と言いたい気分である。

 勿論だが、広告であることに何ら問題はない。広告が「渾身のルポ」と化す事情も承知しているし、それが売れるという実態も理解している。
 ただ、「そんな身も蓋もないことを…」という気分にはなる。

 多分、僕はノンフィクション・ルポが好きで、そこに過剰に思い入れがあるから、そんなことを思うのだろう。
 ルポという形式をとることで、つまり著者が自発的に取材するということは、著者が、その創業者の生きざまを、他人に聞かせるべき内容であることを保証していることを意味する。少なくとも読者はそういうフィルターで読む。だからこそ、他人の自慢話(あるいは苦労話)を素直に受け入れることができるのだ。
 それが広告となるとどうなるか。「聞いてよ、私はこんなに苦労したけど、頑張って会社をこんなに大きくしたんだよ。ね?、聞いてる?」という話をわざわざ聞かされることになると思うのだが…。僕はものすごく意地が悪いから、「こんな苦労話聞かされても、目的は会社のPRなからなぁ」ときっと思うだろう。
 だから、こんな募集の告知は出さなくてもいいのに、って思う。逆効果じゃないのかな~。どうせ、いろんなところから依頼はきているだろうに。

 ま、僕はきっと野暮なことを言っているのだろう。
 頑張って、苦労して、会社を大きくした人の心意気に水を差すこともないだろう。それをまとめて本にして、頑張って売ろうとしている人に対しても…。

  

Posted by 沖縄県産本ネットワーク at 10:56Comments(0)TrackBack(0)事務局長Tの腕まくり日記

2009年01月06日

「アメとムチ」の構図─普天間移設の内幕


渡辺豪:著
沖縄タイムス社:発行

 普天間基地移設の交渉と実務に関わる当事者たちへの綿密な取材をもとに、問題の背景までを押さえて描かれたノンフィクション。
 防衛施設庁(当時)の強硬な姿勢と巧妙な懐柔策。大臣と知事、市長らの駆け引き、そして米国の思惑と介入、など圧倒的な筆致で迫ります。
 また、この10年間の動きを略年表でまとめ、語句解説も付していますので、普天間移設問題のテキストとしても活用できるでしょう。
 「沖縄の優れたノンフィクション」(作家・佐藤優氏)など、多くの評者から絶賛を受け、好評発売中です。
新書判/定価1,000円(税込)
ISBN978-4-87127-189-9






沖縄タイムス社の出版案内は
    ↓
http://www.okinawatimes.co.jp/pub/
  

Posted by 沖縄県産本ネットワーク at 16:19Comments(0)TrackBack(0)新刊案内