2011年01月27日

年末回顧の比較

 27日にもなって「明けましておめでとう」というのも何なのだが、何しろ今年初の更新である。2カ月ぶり。
 しかもネタは「年末回顧の比較」である。申し訳ありませんが、今しばらくお付き合いください。

 さて、個人的に大好きな年末回顧である。個人的な思い出にひたるのは嫌いだが(中高の同窓会なんてたぶん一生いかないと思う)、歴史的・社会的なことを振り返ったり、まとめたりするのがどういうわけか好きである。
 そういう訳で昨年12月に県内2紙に掲載された出版の年末回顧を比べてみたい。

 「沖縄タイムス」は23日に掲載。筆者はこれまでの天久斉さんに代わり、宇田智子さん(書店勤務)。県産本関係者ならもちろんどの書店なのかは知っているわけだが。見出しは「高校生の活躍で沸いた」。同じ面には国内分の出版回顧も同時掲載している。
 「琉球新報」は30日。たぶん10年以上続いているが、宮城一春さん(フォレスト編集長)執筆。見出しは「分野幅広く内容深化 興南、総体写真集話題に」。

 同じ一年を回顧しながら、こんなに違うか、という印象を受ける。宮城さんの方は、県産本を中心に、数多く紹介しようというスタンスなので、これは例年通り。取り上げたのは30点で、それに〈沖縄写真家〉シリーズと「momoto」の創刊が加わる。
 一方、宇田さんが取り上げた本は23冊(山之口貘詩集の復刊も含める)。こちらは高校生の活躍、普天間本、マンガ展関連、写真集とテーマを設け、この1年のキーワードも分かるような趣がある。
 どちらも年末回顧らしい手法ではある。しかしすごいのが、両者が取り上げた本のうち、共通しているのが興南春夏連覇の写真集2点だけなのである(宇田さんは高校総体写真集の書名は取り上げていない)。これはかなり珍しいことだと思う。

 同じテーマでも筆者が変わればこれだけ違う。沖縄本の世界はそれだけ奥が深くて・・・ということになるのだろうか。

 いつも思うのだが、書き手はやはり相手を意識するのだろうな、ということ。察するに、宮城さんの原稿締め切りは、宇田さんのものが掲載されたちょうどその時だと思う。宇田さんのものを読んでいろいろ思いながら、「もう書き上げちゃったし、今さら変えようもない」なんて思いながら原稿を送っているのではないか、なんて想像するわけである。

 


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Posted by 沖縄県産本ネットワーク at 09:09│Comments(2)事務局長Tの腕まくり日記
この記事へのコメント
お疲れ様です。久しぶりのアップが年末回顧で嬉しいです。お察しの通り、私の締切はタイムスに掲載される日より後になっています。今回は、書店員さんらしい回顧で新鮮でした。
やはり私とは視点が違いますね。それが、取り上げる本の違いになったのでしょうね(ただ、共通して取り上げたのが興南高校の優勝グラフだけだったとは気づきませんでした)。
ただ、これもお察しのように、ある程度書き上げているので、気にしないようにしています。昨年は特に、取り上げる本が違うので、意識のしようがありませんでした。また、編集者として、県産本を紹介する者として、できるだけ多くの本を取り上げたいという姿勢は堅持したいと思っています。
Posted by 宮城一春宮城一春 at 2011年01月27日 17:41
コメントありがとうございました。
というか、今まで気づきませんでした。申し訳ありません。

リポーズも新報の年末回顧もかなり長いですよね。こういう事実を改めて考えると、「継続は力なり」という言葉が身にしみます。
Posted by 事務局長 at 2011年02月04日 19:02
 
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